校長講話

【校長講話】令和7年度卒業証書授与式 校長式辞

 三寒四温を繰り返し、春がもう、そこまで、近づいています。本日、この佳き日に、PTA会長 千葉 美恵様、後援会長 高橋 亜矢子様をはじめ、多数の御来賓並びに保護者の方々に御臨席いただき、埼玉県立庄和高等学校、第44回卒業証書授与式を挙行できますことは、この上ない喜びであり、心より御礼申し上げます。

 ただいま卒業証書を授与された145名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。

 皆さんは、本校の校訓である「夢 飛揚」の元、日々の授業、行事、そして部活動などをとおして、仲間と切磋琢磨し、様々なことに全力で挑戦し、自らを鍛え、自らの「夢」を実現すべく、日々、努力を重ねてきました。いよいよ「飛揚」の時がやって来ました。新たな出発に、期待と不安が再び交錯しているかもしれません。

 さて、毎年12月にノーベル賞の授賞式がスウェーデンのストックホルムで行われます。ノーベル賞は、ダイナマイトの開発で巨万の富を築いたスウェーデンの発明家、アルフレッド・ノーベルが「自分の遺産を人類に最大の貢献をもたらした人々に分配してほしい」という遺言に基づいて創設されました。

 昨年、2人の日本人がノーベル賞を受賞しました。生理学・医学賞に大阪大学の坂口志文先生、化学賞に京都大学の北川進先生です。

 坂口先生の専門は免疫です。私たちの体には、細菌など病気を起こす異物を敵とみなして排除する「免疫」という機能が備わっています。しかし、時に自分の細胞を攻撃し、アレルギーなどを起こすことがあります。坂口先生は、そのことを疑問に思い、実験を通して、過剰な免疫の働きを抑える細胞を発見しました。アレルギーやがんの治療に役立つと期待されているそうです。

 北川先生は、ジャングルジムのように無数の穴を持つ新素材を開発しました。この素材は、金属と有機物で作られ、穴を使ってさまざまな物質をためたり、分けたりすることができます。新素材を活用すれば、地球温暖化の原因となる二酸化炭素や有害性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)などを取り除くだけでなく、砂漠の空気から飲料水も作ることができるようになるそうです。

 2人の研究に共通していることは、どちらも当時の科学界の常識を覆す内容だったため、周りの研究者からは、当初、全く信じてもらえず、白い目で見られていたそうです。それでも2人は自分を信じ、研究を続けていくうちに応援してくれる仲間が少しずつ増えていき、今回の成功に繋がったそうです。

 南桜井駅から本校へ向かう、16号の交差点に、大凧のオブジェがあります。卒業生の皆さん、本物の大凧が空を舞うのを見たことがありますか。毎年5月の3日と5日に江戸川の河川敷で畳100畳分の大きさ 縦15メートル、横11メートル、重さ800キログラムの大きさの凧が大空に舞い揚がります。大凧は保存会の方が3か月もかけて、和紙と竹で作ります。大凧を揚げるのは引手と呼ばれる百数十人。見物客は約10万人。江戸川河川敷を埋めた人々が見守るなか、大凧が空へ舞い揚がる姿は、まさに勇壮です。

 

卒業生の皆さん、先ほど話した、ノーベル賞を受賞した先生方でさえ、順風満帆な日々の連続ではありませんでした。大凧も風を受けて、悠々と舞い揚がるときもあれば、上手く揚がらないこともあります。凧が揚がらない時こそ、引手は、風を読んで、挙げる方向を変えたり、引く強さ、走るスピードを変えたり、揚がらない時の創意工夫、努力が後の成功へとつながるのです。

 

 保護者の皆様、本日は、お子様の御卒業、誠におめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。本日の卒業を期に、お子様が新しい社会で大きな花を開かせますことを御祈念申し上げます。また、今日まで、本校に対して心温まる御支援御協力をいただきましたことを深く感謝申し上げます。

 

 最後になりますが、卒業生の皆さん一人ひとりが自らの「夢」を実現し、力強く大空に舞い揚がる大凧のように、将来、大きく「飛揚」することを祈念し、校長式辞といたします。

 

令和八年三月十一日

埼玉県立庄和高等学校 校長 渡辺 秀行