校長講話

【校長講話】令和六年度修了式

先日の卒業証書授与式では、気持ちよく、そして温かく先輩たちの門出を祝福してくれました。皆さんの協力に感謝します。1年後、2年後には、今度は皆さんが後輩から祝福してもらう番になります。今日は年度末という区切りの日ですから、卒業までに是非もう一度見直してみてほしいこととして、社会人としての基礎、つまり土台を築き上げるうえで押さえるべき「基本」についてお話しします。

 

例を挙げて説明します。体力や健康、あるいは美容といえば、かなりの人が関心を持っていると思います。そこで、改善しよう、あるいは鍛えようと思ってトレーニングを始める人も多いと思います。そのときポイントとなるのは動きの意図を意識して正確に取り組むこと、これがここでの「基本」です。筋肉や関節、腱、あるいは腰などに必要な刺激を与えるための、一つ一つの動きを正確に、そして適切に負荷を掛けることが大切で、それが不正確であったり形だけだったりでは、期待する効果は決して得られません。「基本」に忠実に、そして継続しておこなうことで、はじめて期待する筋力のアップや姿勢の矯正、体幹の安定、身体のシェイプアップといった効果が生まれまることになる。何となくでもわかりますよね。

 

では、体育の授業。体操やスクワットなどの決まったメニューがあると思います。ここでも一つ一つの動きを正確に、そして適切に負荷を掛けているかが、やっただけの成果を生むか無駄に時間を浪費するかの分かれ道です。運動部の練習にも決まったメニューがあると思いますが、一つ一つのメニューにどのような場面を想定しているかとかどこを鍛える動きかといった意図がちゃんとあるはずです。その意図を意識してメニューをこなすことが大切です。いずれも、「基本」に忠実に行うか否かで、皆さんが身に付ける力に決定的な差が出ることになります。

 

それでは勉強はどうか。勉強ができるようになりたい、とは誰もが思っていることだと思います。だから、授業中真面目に授業を受けている。でも、生徒アンケートによると、授業以外での学習時間はゼロ、という人がかなりいるようです。だとすると、あまりにももったいないし、やり方として致命的なミスといってもいい。なぜなら、それでは勉強ができるように、わかるようには絶対にならないからです。授業中に真面目に取り組んで、一度はわかった、あるいは解けるようになったとします。でも、そのまま放置したら次の授業までにほぼ忘れてしまいます。記憶とはそういうものです。一度はわかった、解けた、覚えたとしても、その記憶は短期間で消えてしまう可能性が高いのです。だから、せっかくわかったその記憶を消さないための作業が必要になります。それが、復習といわれる作業です。そして、よりしっかり自分のものにしようとするには、定期的に復習する、つまりおさらいすることが必要になります。定期考査には、実はそのための仕掛けの意味合いもあります。定期考査前には、誰もが試験勉強をすると思いますが、日頃ちゃんと復習をしていれば、ある程度は記憶が残っていますから試験勉強もはかどります。そして、試験勉強が繰り返しの総復習の役割を果たしますから、記憶がしっかり定着して学習内容が自分のものになっていきます。ところが、日頃復習をしていないとほとんど内容を忘れてしまっていますから、試験勉強といいながら一から全てをやり直す作業になってしまいます。これではおさらいどころではありませんから、ひたすら覚えられる限りを暗記するしかなく、当然いい結果など期待できません。しかも、試験が終わればせっかく暗記したこともきれいさっぱり忘れてしまう。自分なりには頑張ったつもりなのに、何も自分のものにならない。これでは、もったいなさ過ぎます。

学習における「基本」は、一度学んだことをほったらかしにせず、その日のうちに復習、つまりおさらいする作業をおこなうことです。宿題があるときは、それをこなすことが復習という作業になっていたりしますが、復習のやり方がわからないという人は、すぐにでも教科ごとに担当の先生に教えてもらってください。

 

このように、スポーツでも学習でも何でも、ものごとのほとんどは一度やったくらいでは自分のものになどなりません。何度も反復しながら自分のものにしていくしかありません。「基本」に忠実に取り組む。できるところからでいいのでぜひ始めてみてください。そしてそれを継続させる。そうすれば、自分でも驚くほどの成果を、じきに実感できるようになると思います。

 

3年生の夏を過ぎると、卒業後の希望進路を実現するために多くの人が就職試験や入学試験で面接を受けることになると思います。面接の最大のポイントは、面接官に対して自分の思いを正しくしっかりと伝えることができるかどうかです。自分の思いを伝えるには、そもそもの大前提として伝える「思い」があることと、その思いを伝える力があること、その両方が必要です。「思い」とは、自分はどうしたいのか、どうなりたいのか、どうありたいのか、またそれはなぜなのか、といったものです。当然、自分の価値観、信念に基づいての「思い」であるはずですから、その人なりの価値観、信念がなければなりません。思いを伝える力は、対面で直接相手と意思疎通を図るということをたくさん経験する中で、徐々にその表現力が磨かれていきます。そのためには、常に自分の頭で考えること、そしていろいろな相手と積極的に対面でのコミュニケーションをとること、これがここでの「基本」といっていいと思います。この基本も大切に、今から繰り返し取り組んでみてほしいと思います。

 

来年度の自分の成長、変身を楽しみに、この休みを有意義に過ごしてください。